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2008年4月

2008年4月30日 (水)

ISU Communication1494

来季からのルール変更が発表されました。

主な変更点は、要素の基礎点の大幅な変更、レベル認定の条件に関するいくつかの変更、そしてミスに対するGOE減点の目安の一部変更、となっています。

まずはわかりやすいところで基礎点の変更から解説していきます。

赤は(絶対値の)高くなった要素、青は低くなった要素です。

◆ジャンプ
3A BV 8.2 マイナスGOE -4.2まで
4T BV 9.8 マイナスGOE -4.8まで
4S BV 10.3 マイナスGOE -4.8まで
 ~以下4LzまでBVは0.5刻み~
4A BV 13.3 マイナスGOE -4.8まで

◆スピン
USp Lv1 1.2 Lv2 1.5 Lv3 1.9 Lv4 2.4
SSp Lv1 1.3 Lv2 1.6 Lv3 2.1 Lv4 2.5
CSp Lv1 1.4 Lv2 1.8 Lv3 2.3 Lv4 2.6
LSp Lv1 1.5 Lv2 1.9 Lv3 2.4 Lv4 2.7
FUSp Lv1 1.7 Lv2 2.0 Lv3 2.4 Lv4 2.9
FSSp Lv1 2.0 Lv2 2.3 Lv3 2.6 Lv4 3.0
FCSp Lv1 1.9 Lv2 2.3 Lv3 2.8 Lv4 3.2
FLSp Lv1 2.0 Lv2 2.4 Lv3 2.9 Lv4 3.2
CUSp Lv1 1.7 Lv2 2.0 Lv3 2.4 Lv4 2.9
CSSp Lv1 1.9 Lv2 2.3 Lv3 2.6 Lv4 3.0
CCSp Lv1 2.0 Lv2 2.3 Lv3 2.8 Lv4 3.2
CLSp Lv1 2.0 Lv2 2.4 Lv3 2.9 Lv4 3.2
CoSp Lv1 1.7 Lv2 2.0 Lv3 2.5 Lv4 3.0

◆ステップ
SlSt,CiSt,SeSt Lv1 1.8 Lv2 2.3 Lv3 3.3 Lv4 3.9


いかがでしょうか。
全体に基礎点が上がっていますから、レベル要件の変更に左右されない基礎技術の高い選手の場合、来季のTESは従来よりさらに高めになっていくことが予想されます。
私は素人なうえ未熟者なファンなので、レベルの要件の変更がどのような影響をもたらすか、正確に予想することはまだ難しい段階です。とりあえず、レベル要件の変更は後においておいて、基礎点の変更がもたらす影響について考えてみたいと思います。

高難度ジャンプの基礎点が上がった点ですが、これは同時にマイナスGOEの幅が大きくなっている点に注目しなければなりません。実は、転倒など大きなミスのペナルティは従来よりも大きくなっているのです。
仮に従来の転倒ジャンプの得点(ディダクションのマイナス1点を加味した点)と新しい得点表での得点を比べてみましょう。

3T 0.0
3S 0.5
3Lo 1.0
3F 1.5
3Lz 2.0
3A 3.5→3.0
4T 5.0→4.0
4S 5.5→4.5

このように、トリプルアクセルでは0.5点、4回転では1.0点得点が低くなっていることがわかります。
「高難度ジャンプはよりハイリスク、ハイリターンになった」ということができると思います。
なぜ失敗時のペナルティを大きくする必要があったのでしょう。
実はトリノオリンピックのときのバトル選手の演技にヒントがあります。バトル選手はこの試合で見事銅メダルを獲得していますが、フリーで4回転に挑戦してきています。4回転は試合で1度しか決めたことのない彼が、なぜこの大事な試合で4回転に挑んだのかということについて、かつてのカナダの偉大なチャンピオン、カート・ブラウニングはこういっています。
「4回転は転倒しても5点とれる。クリーンなダブルアクセルを跳ぶよりも高得点だ」
…現実的には、4回転を転倒すれば大変な体力を消耗します。5点は手に入っても、後半の要素でガタガタになる可能性があります。今回の世界選手権ではバトル選手がその戦略をとらなかったことも、それを物語っています。ですから日頃から4回転を入れてプログラムを何度も通して練習してきていなければ、こういった戦略は成り立ち得ません。安易に得点を獲る方法とはいえず、結果論として失敗してしまうことの方が断然多いと思われるのですが、やはり「クリーンでないものにクリーンなものよりも得点を与えてしまうのはどうなのか」という気持ちになる関係者も多かったのでしょう。跳べてはじめて、高難度ジャンプは意味を持つべきだ、という考え方です。
4回転は挑戦すること自体が難しい、という考え方の関係者であっても、4回転そのものの価値をより高めるために、やはりこの点は譲歩せざるを得なかったのでしょうね。
一方、クリーンなプログラムや全体の完成度を評価したいと考える関係者も、4回転を跳んでクリーンにまとめたショートプログラムであってもトリプルアクセルまでのショートプログラムに簡単に負けてしまいがちなことを指摘されては、やはり基礎点を上げる点については譲歩せざるを得なかったのではないかと思います。

といって、この変更がフリーの勝負をひっくり返すほどの影響力を持つことはなさそうだ、というのが私の考えです。0.8というのは、ちょっと着氷がシェイキーになっただけで簡単に失ってしまう得点です。やはり、高難度ジャンプよりも全体をクリーンに、ということの方がまだ重視されていると考えます。しかし、高難度ジャンプを跳んでクリーンにまとめる力を持った選手には、小さな上昇ですが、励みになるかもしれませんね。

スピンに関しては、以前GPシリーズの統計をとってもわかったとおり、キャメルスピンを実施する選手が少ないということで、得点が一律だった3つの基本姿勢の中で得点に差異がつきました。
とりわけ、キャメルスピンはレベル3が軒並み大幅に上がっており、高い技術を含んだスピンでレベルを取りこぼすリスクを軽減しています。レベル3でも十分難度が高いとされたわけです。
ただし低いレベルではそのようなことはあまり考慮されていないようです。とりわけフライングキャメルスピンのレベル1はフライングシットスピンのレベル1よりも基礎点が低くなっています。これは、もっとも基本的なフライングスピンがフライングキャメルスピンであるためだと思われます。シット系のフライングスピンは、フライングシットをとっても、アクセルシットをとっても、デスドロップをとっても、通常のフライングキャメルより複雑な入りをしているわけです。
全体的に、単一姿勢のスピンとコンビネーションスピンの差が詰まりましたが、コンビネーション過多な印象のある現状を考えると、よりバランスがとれたプログラムが可能になるのではないかと思われます。

高レベルステップの基礎点上昇については、ジャンプ、スピンと基礎点が上昇したことに呼応して、やはりスケーティングやコンパルソリーの要素を含むステップも「力の差がつく」要素にしなくてはいけない、ということなのではないかと思われます。
これまではスパイラルシークエンスと同じ基礎点になっていましたが、現実的に、スパイラルのレベル4ならジュニア選手でも軒並み獲れるのに、ステップのレベル4は4回転よりもレアなくらいです。この基礎点が変わってくるのは実力差をより反映することになるのではないか、と、素人ながら想像します。


とりあえず、基礎点に関する解説はこんなところ。
レベルの要件、ミスのマイナスGOEについては、これから暇を見て説明したいと思います。

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