2013年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« ISU Communication1494 その2 | トップページ | 2008年ISU選手権の統計 »

2008年5月 4日 (日)

ISU Communication1494 その3

ルール変更、最後に要素のレベル基準の変更点について。

◆ステップ
・ターン、ステップの種類について、レベル2では簡単な多様さ、レベル3では多様さ、レベル4では複雑さを満たしている。
(旧・ターン、ステップの種類について、レベル2、3では多様さ、レベル4では複雑さを満たしている)
・ロッカー、カウンター、ツイズル、すばやいステップを組み合わせ、逆方向の回転のものを直ちに続けて行っている。
(旧・ロッカー、カウンターやツイズル、すばやいトウステップを組み合わせ、逆方向の回転のものをすばやく続けて行っている)

◆スパイラル
3つのポジションを異なる足、進行方向、エッジで行うことはレベル3以上の必須要項である
(かつてはレベルが1つ上がる特徴であったが、今後はレベルが上がる特徴としては数えず、しかしこれを満たさなければレベル3以上にはならない最低条件となった)
6秒間同じ姿勢を保つ
(上の、なくなったレベルを上げる特徴に代わり、新たに加わった項目)

◆スピン
(これまでは単一姿勢のスピン、フライングスピン、足換えスピン、コンビネーションスピンなどと、スピンの種類ごとに異なる項目でレベルの認定基準が決まっていたが、今後は統一される。その中で)
2つめの難しい変形
 →足換えなしの単一姿勢スピンでは、最初と異なるもの
 →それ以外のものは、最初と異なる基本姿勢(コンビネーション)、異なる足(足換え)で行ったもの
(これまで、足換えなしのコンビネーションスピンの難しい変形は基本姿勢ごとに認められていたが、今後は3つの基本姿勢を入れていても中間姿勢を含め2つの難しい変形しか認められなくなった)
・同じポジションにおいて両方のエッジでのスピン(あらゆるスピンで1回だけ認める
(これまでは、足換えスピンではそれぞれの足で1回ずつ認められていた)
・姿勢やエッジを変えずに8回転(キャメル、シット、レイバック、アプライトの難しい変形で)(足換えスピンではそれぞれの足で1回ずつ、計2回まで認める
(これまでは、全てのスピンで1回だけ認められていた)

<注釈>

◇ステップ
ステップの種類:トウステップ、シャッセ、モホーク、チョクトー、チェンジエッジ、クロスロール
ランニングステップがなくなった
簡単な多様さ:6つ以上のターンと4つ以上のステップを含む。ただし同じ種類のステップは2回までしか数えない
多様さ:8つ以上のターンと4つ以上のステップを含む。ただし同じ種類のステップは2回までしか数えない
(旧/多様さ:4種以上の異なるターンと2種以上の異なるステップをそれぞれ2回以上含む)
(多様さに関して、種類の最低数としては新旧同じだが、新しいルールでは種類を増やせば、1種類あたりの回数を1つにできるものも増えるので、選択肢が増した。たとえば旧ルールではスリー、ブラケット、カウンターをそれぞれ2回、ロッカーとツイズルを1回ずつではターンの多様さは認められなかったが、新しいルールでは全てで8回のターンを行っているので多様さが認められる。簡単な多様さではさらにハードルは低くなっている)

◇スパイラル
チェンジエッジには変更の前後のポジションで最低3秒ずつの保持が要求される。また、チェンジエッジは1メートルの間に行われなければならない

◇スピン
3つの基本ポジション:キャメル(フリーレッグの膝下を後方に腰より高く上げたもの。しかし、レイバック、ビールマン、同じような変形はアプライトとみなされる)、シット(お尻の下を軸足の膝の上部より低くするもの)、アプライト(軸足の膝が伸びているかほとんど伸びていて、キャメルポジションではないもの)、中間姿勢(これら3つの基本姿勢にあてはまらないもの)
フライングスピン:ステップオーバー(フライングの着氷の際バランスを乱してフリーフットに完全に乗ってしまうようなミス)の場合、ショートプログラムではレベルは1を越えない。フリーでは、この入り(難しい空中姿勢や、踏み切りと同じ足での着氷)がレベル上げの特徴と認められない
 

簡単に振り返って参りましたが、まず、ステップでは種類の規定はレベル2、3で易化しました。回数をそんなに頑張らなくても、組み合わせ方や体の動き、正確さで頑張ればきちんとレベル2がとれますよ、という感じです。さすがに誰も彼も下手な鉄砲状態で長々とステップを踏む傾向に「何か違う」と感じる関係者が増えたということでしょうか。
もう一つ、逆方向の回転を組み合わせる規定ですが、これは正直私はいまだ旧の基準もきちんと飲み込めていません。変更点の部分については、スリーとブラケットやオープンチョクトーとクローズチョクトーを連続で行っても認定はされないでしょうから、やはり速いfull body rotationを伴うステップに限定してのものか、と思われます。可能性としては旧来の回転するトウステップに加えダブルスリーターンやループなどでしょうか。

スパイラルに関しては、難化といえます。
これまでは足、方向、エッジのバラエティをそろえることはレベル上げの最も一般的な特徴でしたが、これがなくなることによって、今まで難しい変形を1回、チェンジエッジ、スプリットポジション(あるいは2度目の難しい変形)でとれていたレベル4にもう一つ何かを加えなければならなくなります。
しかし、難しい変形を2回とした場合、それがどちらも手で支持した姿勢なら、もう一回は必ず支持なしの姿勢を入れなければなりません(3つのポジションが全て支持ありの場合、レベルは1になってしまう!)。ですからこれが可能なのは、支持なしでのスプリットポジションや支持なしでの難しい変形が可能な、とりわけ体の柔らかい選手だけです。
ところが、既存のもう一つの特徴、支持なしでフリーレッグのポジションや進行方向を変える、というものは、チェンジエッジと同時には成立しません。(3つのポジションをつなぐ2度のつなぎのうち最低1回は足換えでなければならないので(足を換えないとレベル2以下になってしまうから)、残り1回、どちらかを選んで行うことになる)
そこで登場するのが、6秒間の保持です。これであれば、完全なスプリットのできない選手でも通常のアラベスクポジションで十分レベルを上げることができます。しかしそんなに易しいことではありません。通常のアラベスクポジションは、ほとんどの場合その前後にチェンジエッジを行います。十分にスピードを保持し、すばやくチェンジエッジを行って前後で合計9秒以上スパイラルを行うには、それなりにスケーティングの技術を要します。
あるいは足を換えた後のバックスパイラルで6秒のキープをするとか、バックでチェンジエッジして足を換えてからフォアで6秒のキープをするとか、難しさを分散することもできるでしょう。どちらにしても、全体に負担は増えます。
これまで個性的なシークエンス構成に果敢に挑戦したり、プログラムごとに違うことに挑戦していた選手達であれば、対応も早いでしょうが、毎年レベル4テンプレートを作ってそれだけをしてきた選手ですと、やはりこの夏猛練習が必要かもしれません…。

スピンでは、高い頻度で行われていた変形、チェンジエッジに制限が加わることで、他のレベル上げの特徴ももっと積極的に活用して個性的なスピンにするように、という意図があるように感じられます。
3つの基本ポジションというのがあるコンビネーションではさほど変化はなさそうですが、単一姿勢のレベル4も得点が少し上がったことで、いろいろなことに挑戦しがいが出てきていると思います。個性的なスピンが少しでも増えるといいですね。

これで今回のルール変更に関する解説は終わりです。何か質問、ご感想がありましたら、私もわからないことは多々ありますけれど、コメント欄にお気軽にどうぞ。

« ISU Communication1494 その2 | トップページ | 2008年ISU選手権の統計 »

解説」カテゴリの記事

コメント

なっつさん、こんにちは。以前、某掲示板でカート・ブラウニング選手のフリップジャンプについて質問した者です。その節は丁寧なご回答をありがとうございました。今回の変更についての詳しい説明にも感謝、感謝です。
スパイラルの変更についてはこれから議論を呼びそうですね。個人的にチェンジエッジの1メートル規制には賛成ですが、柔軟性に乏しい選手にありがちな『ガクッ』っとなるものは見たくないですし、レベル上げの6秒の要素は爆発的なスピードを持つ選手にはコントロールが難しくなってきてしまうようにも思えます。

ponatollさん、いらっしゃいませ。
以前は私の拙い説明を聞いて下さってありがとうございました。

スパイラルの変更は、選手にとってはいろいろ辛いところだろうと思います。
しかし、技術委員側は「レベルが全てではないよ」というメッセージを発しているのではないか、と私は感じています。スパイラルでは、レベル3とレベル4の基礎点差は小さく、レベル4で得になるのはGOE加点の部分なんです。ステップでは点差を広げなからスパイラルでは据え置いたのは、レベル3でレベル4を逆転する可能性をより多く残したかったのかと思います。
けれども、多くのジャッジから支持され常に高いGOE加点を狙えるスパイラルを目指すのも、レベルをとるのと同じくらいに難しいだろうと思います。

6秒の保持では、スピードのコントロールはより重要になるでしょう。軌跡が半円では済まなくなるでしょうから、常に同じスピードで滑れなくてはスパイラルの開始地点、終了地点がずれてきてしまいます。しっかりとポジションを維持する筋力も必要だと思います。
ただ、スピードには加速力だけでなく維持力も重要であり、スピードがある、プログラムの最後まで衰えない、という選手は基本的に維持力があります。そして、この特徴は、維持力のある選手の方が圧倒的に有利な特徴になると思います。ですからスピードのある選手が大変だとはいちがいにはいえない、と思いますよ。むしろスピードを維持する力がなければ6秒の保持は(それ単体ではできても)シークエンスの中で実施するのは大変になると思います。

なっつさん。早速のご返答、ありがとうございます。個人的に、これまでもスピン(同一略記号不可、中間姿勢等)やジャンプ(e判定、2A回数制限等)においては基礎の優れた選手が相対的に有利になるような変更が行われているのに対して、スパイラルはいまいち方向性の見えない変更が続いていたように感じていたのです。なっつさんの詳しいご説明で今回の変更の意義がかなり理解できたように思います。

ponatollさん、お返事が遅くなりました。
スパイラルでは曲線を滑ること、両足でフォアとバックを入れることなど、新採点になって真っ先に基礎回帰の方向に向かった要素だと思います。そしてこの方針は今もしっかり堅持しています。
しかし元からごく一部の選手だけが見せ場にしていた要素ですから、それ以外の選手の実施に割く時間が増えたことで、技術の画一化の方が目立ってしまった感があります。そういう選手達と、本当にスパイラルを見せ場にしたい選手を差別化する方法を、技術委員達も模索しているんだと思います。まだまだ試行錯誤の段階ではあると思いますけれど…。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/527645/20759842

この記事へのトラックバック一覧です: ISU Communication1494 その3:

« ISU Communication1494 その2 | トップページ | 2008年ISU選手権の統計 »