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2008年12月28日 (日)

GPシリーズ、スケートアメリカ男子SPのPCS分析

全日本選手権も終わり、今季後半の大会への日本からの出場選手も決定しました。
中野選手は非常に残念ではありましたが、村主選手のあの強さにはただただ脱帽。安藤選手は痛みや不安で辛い中本当によくがんばったとは思いますし、今季一番気迫を見せてくれた演技だと思うのですが、村主選手の強さの前にはやっぱりちょっとかすみますね。勝って当然の状況でしっかり自分の演技をした真央選手もさすがです。
不動の心は日本人の美徳であり、自分の苦しみをあらわにして他人の喜びを損ねないようにするのが『礼』の精神である、とかつて新渡戸稲造氏は述べたのですが、フィギュアスケートほどそれが求められるスポーツ競技はない、と私は感じています。言葉で言うほど簡単なことではありません。その努力を重ねている全ての選手を私は尊敬します。同時に、だからこそ揺るぎない強さを完全に見せられた選手こそ最大に讃えられるべきだと思います。

と、前振りが長くなりすぎました。

昨シーズンのGPシリーズは主に要素の統計をとったのですが、今シーズンはPCSの統計をとってみました。
どこに有意な特徴が出てくるかわからず、ちょっといろんなデータをとりすぎて収拾がつかないくらいなのですが、まずは試合ごとのいろいろなデータをどんどんと並べ、最後に出揃ったデータを分析してみようかな、と思います。

スケートアメリカ・男子ショートプログラム

★PCS全項目全選手平均
公式スコア    6.31
全ジャッジ平均  6.29
(抽選の結果最も影響を受けた選手:7位 +0.10 スコアでは+0.50)

☆項目別全選手平均
項目            SS      TR    PE      CH      IN
公式スコア    6.46   6.07  6.31   6.31   6.42
全ジャッジ平均  6.43   6.04   6.30   6.31   6.37

・INにおいては抽選された公式スコアと全ジャッジによる平均の間にやや顕著な差がみられます

★各項目平均点の標準偏差
(選手によってPCSの平均がどれくらいばらついているかを示します。
各選手の得点と平均点の差の絶対値の平均です)
公式スコア    0.80
全ジャッジ平均  0.80

・ばらつきについては平均的な抽選がされたといえます

☆項目別の標準偏差
項目            SS     TR    PE      CH      IN
公式スコア    0.78   0.81   0.84  0.80   0.78
全ジャッジ平均  0.79  0.80  0.85   0.80  0.79

・項目毎でばらつき方に大きな差はなかったようですが、あえて言えばPEは少しばらつきが大きかったようです。

★5項目のばらつき
(項目ごとにどれくらい得点が違うか、選手ごとに項目で標準偏差を出したものを全選手で平均しました)
公式スコア    0.16
全ジャッジ平均  0.15

・これは各項目にどれほど意味の違いが反映されているかというのを意味する数値ですが、他の大会とも比較してみないとわからないですね。

ここからは選手別、ジャッジ別の評価です。
★各ジャッジの全選手全項目の平均点
J1  J2   J3  J4   J5   J6   J7   J8   J9
6.08 5.91 6.11 6.44 6.73 6.29 6.15 6.55 6.38

・J2とJ5で0.8点程度得点の基準が異なるということです。本当は個々の選手の得点を比べるときにはこの差に配慮しなければなりません。

★5項目のばらつきが最大、最小の選手
           最大 偏差  最小 偏差
公式スコア    10位  0.20      5位 0.10
全ジャッジ平均  9位 0.18     3位 0.12

・公式スコアと全ジャッジ集計では、違う選手になっています。ジャッジにより5項目の評価の仕方は大きく違い、抽選によって簡単に点のばらつき方は変わるということがわかりますね。

★5項目のばらつきが最大、最小のジャッジ
         最大 偏差  最小 偏差
(全選手平均) J7  0.32     J4  0.15

・このようにジャッジによって項目ごとの差の付け方は倍も違います。

☆5項目のばらつきが最大、最小の選手とジャッジの組み合わせ
最大 J7 10位  0.60
最小 J8 1,2位   0.10

・J7が10位のマルティネス選手につけた点は極端にばらついていますね。それも、SSよりPEを1.5点も高くしています。

★ジャッジごとの得点のばらつきが最大、最小の選手
        最大 偏差  最小 偏差
5項目平均  5位   0.52  4位  0.24
SS       3位   0.50  4位  0.32
TR            3位   0.54  2位  0.33
PE            5位   0.63  4位  0.30
CH        3位   0.58  4位  0.33
IN       5,9位  0.63  4位  0.16

・5位のシュルタイス選手が最大ですが、3位の小塚選手も項目によっては非常に評価がばらついています。素質としてはいいものを持っているけれどまだ評価が確立していないという感じでしょうか。一方で同じ若手でも4位のレイノルズ選手は、ジャンプがすごいのは認めるけれどセカンドマークでこれ以上は出せないという見解でジャッジが一致しているように感じます(ジャッジによる平均点の違いがあるので本当に評価が一致しているとはいえませんが)。

★選手ごとのばらつきが最大、最小のジャッジ
        最大 偏差  最小 偏差
5項目平均  J7    1.04   J4    0.61
SS       J7    1.15   J4    0.60
TR            J7    1.06   J4    0.68
PE            J7    1.13   J4    0.62
CH        J8    1.02   J4    0.61
IN       J7    1.12   J4    0.59

・J7が考えるPCSの重要性というのは非常に大きなものがあるようで、5項目でもしっかりと点差をつける方でしたが、選手によっても差を大きくつけます。PCSの意味をしっかりと生かしていくという考え方もひとつの大切な考え方ですが、その場の成功や失敗よりも元々の基礎力の有無や表現力の有無が大きく影響してしまうということにもなりかねない面があります。行きすぎるとシングル競技のアイスダンス化に繋がってしまう感じがします。

ここからの評価は選手の偏差値です。偏差値というのは平均点や標準偏差によらない、その集団の中での選手の相対評価です。
人によっては、こちらの表現の方がわかりやすいのではないでしょうか。

★全ジャッジ平均による各選手の偏差値
    SS  TR  PE  CH  IN  全項目平均
1位  65.6 66.1 67.3 66.2 66.7  66.5
2位  66.7 66.1 65.7 65.9 66.0  66.1
3位  59.3 60.2 59.8 59.6 60.1  59.8
4位  47.3 46.3 46.8 46.8 46.1  46.6
5位  43.1 43.5 41.3 44.3 42.9  43.0
6位  48.4 49.4 48.1 48.5 49.9  48.9
7位  42.4 42.2 42.9 44.0 42.6  42.6
8位  49.8 48.8 49.1 48.9 47.1  47.1
9位  41.7 40.1 39.6 40.9 39.8  39.8
10位   35.7 37.3 39.6 35.0 38.7  38.7

・全体に見て思うのは上の3人の評価が飛び抜けていて50代の評価の選手がほとんどいないことです。元々あまり評価の低い選手は出ないグランプリ大会だと高い選手が飛び抜けて高い格好になるということかもしれません。

☆各ジャッジによる偏差値で、全ジャッジ平均の偏差値と5以上の差がある数(ジャッジによる各選手の評価のばらつきが極端に大きいもの)
選手 SS TR PE CH IN 全項目平均
1位  0  0  1  0  1   0
2位  0  1  1  1  2   0
3位  3  1  1  3  2   2
4位  2  3  0  1  0   1
5位  2  2  2  2  2   1
6位  0  1  0  2  1   0
7位  1  0  1  3  2   1
8位  2  4  4  2  3   3
9位  1  3  2  1  2   1
10位   2  3  4  1  5   3

・偏差値で見ると上位選手は安定していて下位選手がばらつきますね。特に8位のリッポン選手、10位のマルティネス選手の評価が非常に激しくばらついていることがわかります。リッポン選手の場合はジュニアの評価をそのまま持ち越しているジャッジとシニアに入ってしきり直しをしたジャッジとの違いが出ているのでしょうか。
(シートを普通に見ればわかるのですがJ7は小塚選手よりリッポン選手に高いPCSをつけています)

審判 SS TR PE CH IN 全項目平均
J1    2  0  2  0  0   1
J2    1  1  0  0  0   0
J3    2  1  2  2  2   1
J4    2  3  3  3  4   3
J5    2  1  1  1  0   0
J6    1  4  1  2  3   1
J7    3  4  6  6  6   5
J8    0  0  0  0  1   0
J9    0  4  1  2  4   1

・J7はここまでやってしまうとはもはや天晴れという感じです。せっかくですので(笑)全ての項目で極端値を示した選手を発表しておきますと、シュルタイス選手が全て平均より5ポイント以上低く、リッポン選手が全て平均より5ポイント以上高くなっています。正直言ってシュルタイス選手のジャッジ毎の偏差の大きさはJ7一人が作りだしているといってもいいように思えます。小塚選手は項目によって何人か極端値をつけているジャッジがいますが、シュルタイス選手に低い極端値をつけているのはJ7ひとりです。
選手の点の偏差が小さかったJ4も結果としては異常値が多く出ています。偏差が小さいということも評価の独自性を示すのでしょうが、実際には小さな差を大きく引き延ばして評価しているためといえるでしょう。

われながら、ちょっとわかりにくい表現になってしまったなぁと思いますが、これからいろいろな試合の数字が並んでくれば、その大会の特色というのがわかってくると思います。
今回は、たとえば同じ8点でもジャッジによって意味が違う(ジャッジによる平均点の差)とか、J7のような独特なものの考え方をするジャッジの存在、また、点数と偏差値ではちょっと様相が変わってくることが確認できればOKということにしましょう。

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